ayako_no7の日記

シュート!にまつわるあれこれを残す場所。 原作オタク。

限界オタクが初期の馬堀圭吾について語る

私のシュート!における推しは神谷さんでそこはもう不可侵領域なわけですが、その次に誰が好きかといわれればダントツで馬堀です。なのでここで書くのは馬堀圭吾についてです。

馬堀は久保さん亡き後(おそらく夏休み明け?)にブラジルから転校してきたので、初の全国優勝を飾った冬の高校選手権に出た選手の中では唯一、久保さんと面識がありません。公式から出てる「THE FINAL INDEX」によると、最初はつながりがある設定だったそうですが、いつの間にかどっかにいったらしい。4部で間接的なつながりがあったことは匂わされてますが、馬堀本人が「久保さんって人」と呼んでいるので、会ったことはないでしょう。

初登場はコミックスでいうと8巻、話数でいうとおそらく65話。ここからトシが10番を受け継ぎ、トシ本人が自分は久保さんとは違うと自覚するまで(11巻の清水学苑戦が始まるまで)が、神谷キャプテン率いる掛川が未来へ進もうともがき、殻を破ろうとしている時期だと思っています。この時期の馬堀がかなり好きなので、追っかけながらみていきます。←たぶん私だけが楽しい。

さて馬堀くんに最初に与えられた役割は異分子です。サッカー部員が揃ってランニングするなか1人だけ柔軟をして、参加しろといわれても「アップはいつもストレッチを重点にやってるから必要ない」と言い放つ。外国帰りということを差し引いても、かなりの強心臓の持ち主であることは疑いようがありません。一気に部内が険悪なムードになって仕方なくランニングに参加するものの「考えて練習してんのかな」と心の声がダダ漏れです。

このへんのエピソードはわりと重要な伏線になってくるんですが、私はもうこの時点でマホが好きでした。神谷さんはちょっと怒ってますが、ここはマホの肩を持ってしまう。みんなで一緒に走る必要ないじゃん(団体競技とかしたことない人の意見)。

あと、このへんは読み返してから気付いたんですが、マホはトシと年齢が同じで身長体重もほぼ変わらない(トシ172cm60kg、マホ172cm63kg)わりに、トシよりも一回りがっしりした体格に描かれてるんですよね。ちゃんとサッカーするための体を作ってるなっていうのが分かります。ちなみに以後も、試合前とかにさりげなくストレッチをしている描写が出てくるのでチェックしてみよう。

さてさてサッカー部では若干浮いているマホですが、教室では人気者です。女子にはカッコいいと噂され、文化祭のねるとん(これ今の子には通じないだろ)のために女の子に声をかけ、男子生徒からは「部活入ってないなら(文化祭の準備を?)手伝ってくれ」といわれる。転校してきたばかりなのに、トシよりもクラスになじんでそう。このコミュ力の高さが陽キャ現代っ子ぽくて、健二や一美をはじめ90年代のカラーが濃いキャラクターの中ではわりと異質かもしれません。

そして部活ではまたランニングではなく柔軟に一生懸命で、大塚さんに目を付けられるマホ。神谷さんはここで態度を変えて「ほっとけ」と言い出します。

このときのマホは、練習でケガしないようにとかきちんと理由があるから柔軟をやってるわけで、ランニングしてたら自分に必要なアップができないから優先してるだけなんだよね。決してやりたくないとかサボってるとかではない。本人もランニングは必要だってちゃんと言ってるし。

一方で大塚さんたちは決められたメニューをこなすが一番の目的になってしまっていて、目的と手段のはき違えが起こってるわけです。マホは「アップをする」のが目的なのに、そのほかの部員は「メニューをこなす」のが目的になっちゃってる。

ちょっと本題から外れますが、このときの神谷さんの苦悩はすごかっただろうな。サッカー部から久保さんが抜けたのは精神的にも技術的にも大ダメージで、どっちも立て直さなきゃならない。しかもサッカーを離れたところでも親友であり、入学前からコンビを組んでた自分が一番深い傷を負っているにもかかわらずですよ。技術的には大きなプラスになりそうなマホが入ってきたものの、その言動が部員たちを逆なでするもんだから雰囲気は最悪。でもここで「全部投げ出してサッカーから離れる」という選択肢が1ミクロンも出てこないのが神谷さんらしいと思う。サッカーへの愛と精神力が強すぎる。

さて、モダモダした文化祭が終わると舞台はサッカー部へ。ここからマホが私物ではなく「KAKEGAWA HIGH SCHOOL SOCCER CLUB」のTシャツで練習に参加するようになります。マホがテクニックのあるプレイヤーだということが分かってきて、部員の中でもおとなしい組の赤堀さんや新田くんはマホと一緒に練習するようになりますが、健二や大塚さんはますます反発していく。ただ神谷さんは遊んでるわけじゃないからといってどっちの肩も持ちません。

ここで一番問題なのは大塚さんだよ。副キャプテンなのに反マホの先陣を切っているので、神谷さんがめちゃくちゃ孤立している。極めつけに「久保がいれば自由にさせちゃいない」と神谷さんの目の前で言う。大将も悩んでるんだよ~分かってやってくれ。そんな「お前じゃダメだ」みたいなこと言ってやるなよ…。

このあたりは掛西トリオの心境もそれぞれで、健二は「馬堀ムカつく」、トシは「どうしたらいいか分からない」、和広は「変わらなきゃいけない」という感じ。和広は本当に聡明だな。

そしてついに、マホと健二のケンカに発展してしまうわけです。悪いクセを直す練習をずっと続けても意味がないというマホと、久保さんの残したものを大事にしたい健二。マホに一理あるわけですが、健二は一度ボスと決めた人にとことんついていく性質があるので、この衝突は致し方ない。ついにトシが「お前のせいで部内がめちゃくちゃになってる」とマホを責め、マホが「いつまで死んだ人にこだわってるんだよ」と言って場を凍りつかせます。

私はこのときのマホの、怒っているようでちょっと寂しそうな、苦しそうな表情がめちゃくちゃ好きなんですよ。クラスにすぐに溶け込めるマホの性格からいって、サッカー部員のことは無意識下で仲間だと認識していると思うんですよね。他人を自然と自分の内側に入れるタイプというか。仲間だと無意識に思ってるからこそ、いろいろ言葉が出てくるんだと思う。「こいつら言っても無駄だな」って思ったら、何も言わずに辞めればいいだけなので。だからマホのちょっと寂しそうな表情がとても切ない。自分は仲間だと思ってるのに、周りからはそう思われてないんだもんな。

そしてこのあとは、サッカー部がまとまるきっかけになる紅白戦です。自分が決めたメンバーは替わってもいいという神谷さんに対し、「21対1になる」という健二、まだ怒ってる顔のマホ。でも馬堀チームに入った和広がこれで構わないと発言したことで、空気が変わっていきます。トシはこれを「一美を自分の家に泊めたことを和広が怒っている」と取るわけですが、今回の本題と関係ないので割愛。悩みが多いやつだな。

この紅白戦は、シンプルに表現すれば馬堀v.s.反馬堀。組み分けを考えた神谷さんは本当に全員のことをよく見てると思う。ただこれでうまくいくかどうかは、多少は賭けみたいなところもあったんじゃないかな。このあたりの神谷さんは本当に言葉が少なくて、悩んでるんだろうな~と思ってます。

試合は作戦を柔軟に組み立ててきた馬堀チームが2点リードで、反馬堀チームはお通夜状態。神谷さんが放つ「今のお前ら見比べりゃわかるだろ」のひと言が重い。また久保さんのことを口にする大塚さんに対し、トシが「オレたちで考えましょう」と言って、後半は掛高らしいサッカーが始まります。

このへんのおもしろさは、後で出てくるクリエイティビティとイマジネーションのサッカーに通じるものがあるな。これでみんながサッカーの楽しさを思い出して、わだかまりもとけていって、物語は次のフェーズへ。ところで紅白戦でマホだけスパイクじゃない靴を履いてるのはなんでなんだろう?謎です。

さてマホの次の役目は、掛川センターハーフです。レギュラー発表とユニフォーム配布のエピソードは、アニメではトシが10番を受け取る前にマホが11番(トシが最初に付けた番号)を受け取る演出が入っていて細かいなと思った。マホが久保さんのポジション(センター)に収まり、司令塔の神谷さんをあえて左に置く掛高独特のフォーメーションは、あとで斉木さんが有効性を解説してくれますが、このときは「とりあえず」なんだよね。結果オーライというやつかな。

ここからマホは試合中にとにかく解説に「久保の穴を埋めている」と連呼されるんだけど、そもそもポジションが同じなだけで、チーム内での役割も得意なこともまったく違うから、単に穴を埋めてるだけじゃないのよ~。でもたぶん本人は久保さん知らないから気にしてないと思う。

ここからの掛川の試合で、神谷さん←→マホのホットラインは何回も出てくるんだけど、さら~っと描かれててあんまりフォーカスされないのよね。注目してみるとマホの有能さが分かるのでぜひ見てほしいと思っています。

選手権の予選がスタートする前に、東京行きのエピソードがあります。マホが一美を誘って結果的にトシと和広も来て4人で東京へ行く話。「男と行くより女の子と行くほうが楽しい」というシンプルな結論がラテンだよな~。トシと和広が一美を好きって知ってても「手は出さないけど友だちとして一緒に遊ぶ」っていうスタンスなんでしょうきっと。この軽さがマホの魅力なんだよ。そして電車に乗るから酔い止め買ってきた!というのがかわいい。乗り物酔いする体質なのね。ブラジルから飛行機で来るの大変だったでしょう。そしてただ東京観光するだけじゃなく、帝光を見にいこうと言い出すあたり、ちゃんと部のことを考えてるんだよね。軽いけどいい加減じゃないしサッカーにはすごい真剣で、そのギャップがいい。そして電車では行きも帰りもちゃっかり一美の隣をキープしている。ちなみにここのエピソード、アニメではなぜかマホ・トシ・和広ではなく、掛西トリオに変更されています。なんでやねん。

そんなこんなで選手権の予選が始まり、初戦は金森高校です。ここでマホはいきなり2得点を上げるんだけど、これは先生の読者サービスだと思う。もしくは損な役回りを引き受けたマホへのごほうびかもしれない。

そして泥だらけの横賀戦、大勝した沼津中央戦、桜ヶ丘戦を経て、私の大好きな富士島南戦です。美奈子ちゃんに「久保くんにそっくり」といわれたトシが久保さんの真似をして神谷さんの「戻せ」っていう指示を聞かず、1人で突破しようとしてまんまと敵の罠にひっかかり、大ピンチを迎えるやつ。カウンターをくらって健二も逆に振られて、失点か!?っていうところをマホがスライディングで阻止し、神谷さん→和広と回して決勝点を取るところですね。

まずスライディングしたときの横顔が真剣でめっちゃいい。マホは基本的に顔がかわいいんですが、男の子のかわいさとたくましさがしっかり出てるのがすごい。そして全員が戻りきれてなかったところ、中盤からゴール前まで来てチームのピンチを救う有能さ。ここ神谷さんがトシのフォローのために前に出る描写があるから、それを見て下がったのでは?と思ってます。

そして決死のスライディングしたせいで、右足の膝の下をザックリ切るけっこう派手なケガをしちゃうんですよね。傷の大きさからすると多分縫ったんじゃないでしょうか。競技場で応急処置して病院連れていったんだろうけど、歩かせると痛そうなので2年生がおんぶしていったらいいのにと思っています。背負われるマホかわいい(妄想)

このケガをきっかけに神谷さんがとうとうトシに切れるわけですが、試合が終わってそそくさと美奈子ちゃんのところに行っちゃうトシの浅はかさとか、神谷さんのブチギレ具合とか、止めに入る大塚さんとか、この展開がね~アオハルだよ~。回想で掛川の10番を巡るエピソードも出てくるしね。

この捨て身のスライディングで、マホはサッカー部内での立ち位置を不動のものにしたんじゃないかと個人的に思っています。もちろんすでにわだかまりはとけてるし、ちゃんと全員が仲間意識を持っている状態なんだけど、絶対的な信頼感を獲得したというか。トシはきっと後で謝ったんでしょうマホに。

このあともラインハルトのマークに苦戦するマホとか、良とマリーシア対決するマホとかいろいろ見せ場はあるんですが、初期のマホの好きな部分はこんな感じです。マホは基本的にいつ見ても有能だしかわいいです。